2021年11月9日(火)、日比谷中田 M&Aニュースレター Vol.19 (2021年11月号)を配信いたしました。


---- 目次 ----
1. お知らせ
2. 当事務所の最近の関与案件
3. 最新トピック「M&AとESG(ESG デュー・ディリジェンス)」(文責 井上俊介)
4. 所属弁護士の趣味紹介「私の趣味」(文責 関口尊成)


1. お知らせ


■ 当事務所の弁護士によるセミナー情報をご案内します。

  ◆ テーマ:「海外国内のCDMO(医薬品受託開発製造事業)企業の買収のポイントと注意点」
    ● 主催:日比谷中田法律事務所
    ● 講師:中田順夫 弁護士
    ● 日時:2021年11月17日(水) 13:00~14:30
      *本セミナーはオンライン会議システム「Zoom」で開催します
      ご参加を希望される場合には、
       https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_tjO44da7TaadKCkP0XVrEQまでお申し込みください。
      お申し込みいただきました参加者には後日Zoomの招待URLをお送りいたします。
      お申込み多数の場合には、抽選等により主催者にて参加受付者を決定いたします。

  ◆ テーマ:「企業買収時のPMIの多様化(オペレーション開始型/リスク対応型/課題解消型)とcase study」
    ● 主催:日比谷中田法律事務所
    ● 講師:中田順夫 弁護士
    ● 日時:2021年12月15日(水) 13:00~14:30
      *本セミナーはオンライン会議システム「Zoom」で開催します
      ご参加を希望される場合には、
       https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_VQyKZhmBT0Ch_YJdCc6nHwまでお申し込みください。
      お申し込みいただきました参加者には後日Zoomの招待URLをお送りいたします。
      お申込み多数の場合には、抽選等により主催者にて参加受付者を決定いたします。

  ◆ テーマ:「ケースで学ぶ海外M&A」
    ● 主催:株式会社レコフデータ
    ● 講師:関口尊成 弁護士
    ● 日時:[1コマ目] 2021年11月25日(木) 13:30~15:00
           [2コマ目] 2021年12月2日(木) 13:30~15:00
      *本セミナーはオンライン会議システム「Zoom」で開催します
      https://rd.tayori.com/f/malp-app-202111-12

  ◆ テーマ:「企業価値評価の仕組み、買収価格の算定・アーンアウト・交渉のポイント、買収契約書での価格調整条項」
    ● 主催:日比谷中田法律事務所
    ● 講師:中田順夫 弁護士
    ● 日時:2022年1月19日(水) 13:00~14:30
      *本セミナーはオンライン会議システム「Zoom」で開催します
       別途後日ご案内をお送りします

  ◆ テーマ:「国内・海外におけるM&A、表明保証保険の実務」
    ● 主催:企業研究会
    ● 講師:関口尊成 弁護士
    ● 日時:2022年1月19日(水) 14:00~16:30
    ● 会場:企業研究会セミナールーム (東京都台東区東上野1-13-7 ハナブサビル)
      *当日はオンライン配信も同時に実施します
      *後日当事務所HPで申込詳細をご案内します

  ◆ テーマ:「事業会社による国内・海外でのベンチャー出資の実務」
    ● 主催:企業研究会
    ● 講師:関口尊成 弁護士
    ● 日時:2022年2月14日(月) 14:00~17:00
    ● 会場:企業研究会セミナールーム (東京都台東区東上野1-13-7 ハナブサビル)
      *当日はオンライン配信も同時に実施します
      *後日当事務所HPで申込詳細をご案内します

2.  当事務所の最近の関与案件


■ JUKI株式会社による三菱電機株式会社及び名菱テクニカ株式会社との工業用ミシン事業の合弁会社の設立について、副田達也、井上俊介、太田香の各弁護士がJUKI株式会社のカウンセルを務めました。
  https://www.juki.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/11/n211108.pdf

■ アース製薬株式会社によるフィリピンのNeumann & Mueller Philippines, Inc.の運営する事業の買収について、副田達也、太田香、中井直子の各弁護士がアース製薬株式会社のカウンセルを務めました。
  https://corp.earth.jp/jp/news/2021/pdf/20210907-01.pdf

現在継続中のM&A/JV案件として、アメリカ1件、フランス2件、中国4件、香港1件、タイ1件、インドネシア2件、フィリピン1件、シンガポール1件、ベトナム1件、グローバル1件、国内 17件など、多数進行中です。

3.  最新トピック「M&AとESG(ESG デュー・ディリジェンス)」(文責 井上俊介)


はじめに
ESG(環境、社会、ガバナンス)投資は世界的に拡大を続けており、世界持続可能投資連合(Global Sustainable Investment Alliance:GSIA)の最新のレポートによれば、2020年における全世界のESG投資残高は35.3兆ドルに達し、2018年から15%も伸長しています。日本でもESG投資という言葉はここ数年でかなり定着しましたが、最近では、M&Aの世界でもESGへの関心が高まってきています。

M&AとESGの関係
M&AにおけるESG重視のトレンドには、大きく二つの流れがあります。一つはESG関連企業のM&Aの活発化であり、低炭素化社会への移行を見据えた再生可能エネルギー企業の買収などがこの文脈に位置付けられます。

もう一つの流れが、ESGリスクの発見・評価のためのESGデュー・ディリジェンス(ESG DD)の重要性の増大です。企業のESGに対する配慮への社会的要請の高まりを背景として、ESG リスクが顕在化した場合に企業が被る損害はますます大きくなっています。

ESG リスクが顕在化したときの損害
かかる損害として、例えば、当該事由が法令違反に該当する場合、規制当局による罰金・制裁金の対象となる可能性があります。

また、たとえ法令違反に該当しなくても、当該事由が世間に知られることにより、対象企業の市場における信用・評判が低下し、事業に悪影響を及ぼすことが考えられます。

さらに、買収者が上場企業の場合、ESG投資家からの投資を受けられないことも損害として挙げられます。

ESG リスクの具体例
ESGリスクには多様なものがあり、例えば、E(環境)については、大気・土壌・水質汚染、排ガス規制、CO2排出規制などが含まれます。

また、S(社会)としては、労働者の安全衛生、賃金平等、ダイバーシティ、ハラスメント、データ・セキュリティ、顧客プライバシー保護、製造物責任のほか、サプライチェーンにおける奴隷労働、人身売買、児童労働が含まれます。

さらに、G(ガバナンス)には、コーポレート・ガバナンス、会計基準、カルテル、贈収賄などに加え、事業の継続性、災害対応もこれに含める場合もあります。

ESG DDではこうした論点について、資料開示やQ&Aを通じてリスクの特定・評価を行うことになります。

ESG DDと通常の法務DDの違い
もっとも、ESG DDで調査すべき論点の多くは必ずしも目新しいものではなく、通常は法務DDでもカバーされている点には注意が必要です。

ただし、法務DDとの違いとして、ESG DDの範囲は、単に法令に違反していないというだけでなく、法令違反の防止・リスク低減のための体制やポリシーの有無・内容にまで及ぶことが挙げられます。

また、ESGについては、法令(ハード・ロー)ではなく法的拘束力のないガイドライン・指針等のソフト・ローで規律されている場合も多いため、そうしたソフト・ローへの適合状況も確認する必要があります。

加えて、対象企業だけでなく、そのサプライチェーンも調査対象とされることが多いのもESG DDの特色として挙げられます。

ESG DDで気を付ける業界・地域
ESG DDの標準的な手法はいまだ確立しているとはいい難いため、デュー・ディリジェンスで確認すべき資料や着目すべき論点については、対象企業の属する業界および地域に応じたケースバイケースの判断が必要となります。

例えば、農業やアパレル業界などではサプライチェーンにおける児童労働のリスクに注意する必要があります。薬品工場などがある場合には環境汚染に注意が必要でしょう。また、ミャンマーや新疆ウイグル自治区など、人権侵害が疑われる国・地域で事業を行ったり、原材料を調達したりしていないかもチェックが必要となります。

リスクの特定・評価
ESG DDで特に難しいのは、リスクの特定および評価です。前述の通り、ESG DDでは単に法令に違反しているかどうかだけでなく、法令違反を防ぐための社内体制やソフト・ローへの対応状況も調査することとなるため、どのような場合に「リスクあり」と言えるのか明確な基準が存在しないことが往々にしてあります。

また、仮にリスクが特定されたとしても、それを定量的・客観的に評価して買収価格に織り込むことが困難な場合も少なくありません。

欧州における制定法化の動き
なお、ESG リスクは、ソフト・ローで規律されていることが多いと述べましたが、最近の傾向として、特に欧州および旧英国領国におけるESG 規制のハード・ロー(制定法)化が挙げられます。

例えば、2015年に制定された英国の「現代奴隷法」はその先駆けであり、英国内で年間3,600万ポンドの売上を有する企業に対し、現代奴隷および人身売買に関する報告義務を課しています。

また、2017年制定のフランスの「親会社および発注会社の注意義務に関する法律」は、フランスに本社を有し、従業員数がフランス国内の子会社と合わせて5,000人または全世界の子会社と合わせて10,000人以上の企業に対して、人権侵害リスクの特定・回避を目的としたデュー・ディリジェンスの実施を義務付けています。

2021年に成立し2023年1月施行予定のドイツの「サプライチェーン注意義務法」は、ドイツ所在でドイツ国内に3,000人(2024年以降は1,000人)以上の従業員を有する企業に対し、国内外のサプライチェーンにおける人権と環境に関するデュー・ディリジェンスの実施等を求めています。

さらにEUレベルでも、近々、EU域内で事業を行う企業に対し、バリューチェーンにおけるESGリスクに関するデュー・ディリジェンスの実施を求める指令が成立することが見込まれています。

表明保証・補償・PMI
ESG DDの結果、リスクが検出されたものの、ディールキラーとまではならない場合、契約書において適切に手当てすることになります。基本的には表明保証で対応することになりますが、通常の法令遵守に関する表明保証の条項に比べ、保証の範囲を広くするなどの工夫が必要となります。

また、表明保証違反があった場合の補償についても、上述のリスクが顕在化した場合の損害のうち、どの範囲までが補償対象となるか慎重に検討する必要があります。

加えて、ESGリスクは継続的なモニタリングが必要である場合が多く、買収実行後のPMIにおける対応も必要となります。

4.  所属弁護士の趣味紹介「私の趣味」(文責 関口尊成)


世間に面と向かって趣味と言えそうなのは読書くらいです。どの分野や作家というこだわりはないですが、振り返ってみると、小説や社会学の本を読んでいることが多いです。最近読んだ本で印象に残っているのは、『人新世の「資本論」』という若手のマルクス研究者の書籍です。マルクスを現代的に解釈し直し、経済成長を捨てきれない現在の環境保護論の欺瞞を一刀両断しているのが特徴です。欺瞞だったとしてどうするのかという点が弱いですが、皆が言い出しにくい真理をついていると思います。これくらいのスケール感のある論考こそが、若手の研究者の醍醐味だと思います。著者の斎藤幸平先生は1987年生まれで私より年下ですので、自分も負けておられず、奮起したいと思わされる本です。

思いつくままつらつら書いていきますと、野球、麻雀、町中華も趣味と言えるかもしれません。野球は、近頃は行けていませんが、昔はよく球場まで観戦に行っていました。神宮球場が一番好きです。神宮球場はドーム型の球場でないので、晴れている日は空に包まれるような感覚になって、とても気持ちが良いです。ビールを飲みながら観戦すると幸せな気分になります。プロ野球選手では落合博満選手が一番好きで、インタビュー番組などをみつけると必ずチェックするようにしています。禅問答のように核心をついているようで、最後まで説明し切らないコメントを聞いていると想像が膨らみます。過去のインタビューも再放送されていることがあるので目にすることがありますが、昭和の30代は今より随分大人びた外見です。そういうときは、外見に比して、内面はどうだったのか、いつも気になります。プレーの方は社会に出てからほとんどしていません。子供が野球に興味があれば少年・少女野球チームに入ってもらって、コーチをしようと思っていたのですが、興味がなさそうです。そうなると自分で野球をする機会はもうないと思います。

麻雀は学生の頃から上手な人とやることが多かったので、点数計算を含め他人任せになってしまうため、全然上達しません。そのまま伸びずじまいです。霞ケ関に出向したときに職場仲間と意気投合して毎週のように内幸町の雀荘で麻雀をしましたが(公務員なのでもちろん健全な麻雀です)、それでも上手になりませんでした。麻雀をやっていて不思議に思うのは、麻雀の最中、メンバーは麻雀に集中していて無言なので、意思疎通の場としてはまったく役に立っていないのですが、なぜか仲が良くなることです。同じ空間を共にするということはもしかすると人間関係に良い影響をもたらすのかもしれません。こうした観点から、コロナ禍で進化したリモートワークの在り方も考えさせられます。

これまで食べたものを振り返ってみたのですが、死ぬ前に食べるとしたら、断然、町中華です。自宅から職場まではレンタル自転車で通っているのですが、その途中に神保町があります。神保町は評判のよい町中華がたくさんあるエリアで、毎日自転車のルートを変えながら、よさそうなお店を探しています。理想は、ラーメン、半チャーハン、餃子、ビールを一気に注文することです。すごく良いことがあったときにやろうと決めて先のばしにしていたのですが、コロナ禍になってしまい、外でビールを飲めなくなってしまったので、実現していません。コロナ禍が落ち着いたらぜひ挑戦したいです。ただ、自分で勝手に設けた障壁ですが、何か良いことが起こらないと条件が満たされないので、その面でも頑張りたいと思っています。

とりとめのない話で恐縮ですが、最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

以上

日比谷中田法律事務所
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