お知らせ

井上俊介弁護士と山崎真理弁護士が執筆した「Japan: Private M&A Comparative Guide」がMondaqに掲載されました。


当事務所弁護士が講師を務めるセミナー情報です。

事務所主催セミナー

『M&Aカーブアウト案件への対応テクニックとノウハウ』
【開催日時】2023年12月6日(水) 13:00~14:00
【開催形式】WEB配信 (Zoom Webinar)
【参加費】無料 (事前登録制)
【申込締切】2023年12月5日(火) 12:00まで
【講師】中田順夫 弁護士
【申込】Webinarに申し込む

『海外国内のCDMO企業の買収のポイントと注意点』
【開催日時】2024年1月17日(水) 13:00~14:00
【開催形式】WEB配信 (Zoom Webinar)
【参加費】無料 (事前登録制)
【講師】中田順夫 弁護士
【申込】近日HPで案内予定


外部セミナー

株式会社レコフデータ主催『M&Aリーダーシップ・プログラム』
【開催日時】
 [1コマ目] 2023年12月5日(火) 15:30~17:00
 [2コマ目] 2023年12月6日(水) 15:30~17:00
【開催形式】WEB配信 (Zoom Webinar)
【参加費】有料 (事前登録制)
【講師】関口尊成 弁護士
【申込】Webinarに申し込む

日本取締役協会主催『進歩するM&Aに対応した会社経営 連続セミナー (第9回)』
【開催日時】2024年2月1日(木) 15:00~16:30
【開催形式】会場開催
【参加対象】日本取締役協会の会員企業のみ参加申込可能
【ゲストスピーカー】イハラサイエンス株式会社 代表取締役会長 中野琢雄氏、取締役執行役員 中川路豊氏
【コーディネーター】水落一隆 弁護士
【トピック】(仮) MBOを実施してみて


最近の関与案件

BEMAC株式会社と三井物産株式会社によるフィンランドのSwitch Engineering Oyの株式取得について、井上俊介、辻裏光希、春山莉沙の各弁護士がBEMAC株式会社と三井物産株式会社の日本法カウンセルを務めました。
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中田順夫、辻裏光希の各弁護士が、東部ネットワーク株式会社による株式会社ヒスコムからの北陸コカ・コーラボトリング株式会社の製品の輸送・保管業務の事業移管をアドバイスしました。
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現在継続中のM&A/JV案件 アメリカ2件、メキシコ1件、中国3件、香港1件、台湾1件、タイ4件、インドネシア2件、インド1件、ベトナム1件、マレーシア3件、シンガポール5件、グローバル1件、国内22件など多数進行中。


最新トピック

『パーシャル・スピンオフ税制の導入』
文責 辻裏光希


弊職は、当事務所代表弁護士の中田とともに、先月、ウェビナーを開催させていただきました。「日本の上場会社M&Aの最新トピック」というタイトルで、6つのトピックについてお話ししたため、今回は、そのうちの1つをピックアップして本稿を執筆します。

2023年度税制改正において特例措置が認められたパーシャル・スピンオフについて説明する前に、従来のスピンオフ制度、すなわち、2017年に創設された、スピンオフ時に一定の要件を満たせば再編時の譲渡損益や配当に対する課税を対象外とする税制について概要を把握したいと思います。

まず、スピンオフとは、自社内の特定の事業部門又は完全子会社を切り出し、独立させるものであり、独立した会社の株式は元の会社の株主に交付されることとなります(便宜上、元の(親)会社をA社、新設会社/元子会社をB社と呼称することとします。)。A社が自社内の特定の事業部門を切り出す場合は、当該事業を切り出す新設分割と同時にB社の株式がA社の株主に交付されることになり、完全子会社B社を独立させる場合には、A社により自社株主にB社の株式がいわゆる現物配当をされることになります。

一般的に、そのようなスピンオフの効果として、例えば、①両社ともに、各々の中核事業に専念することが可能になり、迅速かつ柔軟な意思決定が可能になったり経営者や従業員のモチベーションが向上したりすること、②両社とも事業構成がシンプルになることで、コングロマリット・ディスカウント(複数の事業を営んでいる場合に、それらを個別に営む場合よりも、事業価値の総和が市場で低く評価される現象)を克服でき、各々の事業特性に応じた最適な資本構成が可能になること、③B社独自の資金調達の途が拓かれ、大規模 M&A 等の成長投資が実施可能になったりA社の競合相手との取引も可能になったりすること、等が挙げられます。このように、幾多のメリットもあり、海外では活用事例の多い組織再編の手法であるスピンオフですが、国内では過去に実施例が1件(コシダカホールディングスによるカーブスホールディングスのスピンオフ(2020年3月))しかありません。

従来のスピンオフ制度に関する説明が長くなりましたが、以上のような背景があり、パーシャル・スピンオフ税制が導入されることとなりました。パーシャル・スピンオフとは、スピンオフのうち、完全子会社の類型でのみ使用可能であり、A社にB社の持分の一部(20%未満)を残すものを指します。そして、スピンオフ税制の場合と類似の一定の要件を満たせば、株主等に対する課税を繰り延べる特例措置が認められます。

もともと、日本は欧米に比べて事業の切り出しが少なかったところ、事業環境が急激に変化し、機動的な事業再編が求められる中で、政府は、大企業発のスタートアップ創出の観点からスピンオフの促進の必要性を感じていたとのことです。一方で、日本の特に大企業の実態としては、元親会社のブランドやシステムを利用するには資本関係が残っていないと難しかったり、元親会社との資本関係を段階的に減らすことで顧客からの信頼の維持や取引の継続がしやすかったりし、事業切り出し時点で完全に資本関係を解消することが難しい場合が多いように思われます。そこで、事業切り出しは段階的に行う方が日本企業の実態に合致し、円滑に実施できること、また持分を将来売却して利益を得ることもできるため、元親会社でのスピンオフの決断を促進できることを見込んで、パーシャル・スピンオフ税制が創設されました。

もっとも、未だ懸念点として感じられうるのは、企業がスピンオフの検討をする場合、コングロマリット・ディスカウントを解消し、スピンオフする/される会社ともに、各々の中核事業に専念することを目指す場合が多いように考えられます。しかし、例えばコングロマリット・ディスカウントの起こりやすい親子上場の場合、文字通り親会社・子会社ともに上場した状態のため、子会社は親会社の100%子会社ではありません。したがって、従来のスピンオフのみならず、新設されたパーシャル・スピンオフであってもその適用範囲外となっており、この場合の使い勝手には疑問が残ります。そうであっても、特に本年は(パーシャル)スピンオフの検討を公表した企業がいくつか存在したので(注)、今後この制度がどのように活用されていくのか、引き続き趨勢を見守りたいと思います。

(注)
2023年1月 メルコホールディングスによる子会社のシマダヤのスピンオフの検討の公表
2023年5月 デジタルハーツホールディングスによる子会社のAGESTのスピンオフの検討の公表
2023年5月 ソニーグループによる子会社のソニーフィナンシャルグループのパーシャル・スピンオフの検討の公表
2023年7月 Hamee株式会社による子会社のNE株式会社のスピンオフの検討の公表

以上


趣味紹介

『日本画の楽しみ』
文責 中田順夫


当事務所のニュースレター2020年11月号にて以前もお話ししましたが、私は若い頃から趣味が多く、年齢とともに次々と趣味が入れ替わりながらも様々な趣味に夢中になってきました。錦鯉を育てて品評会で入賞させたり、社会人になってからクラシックのフルートを習ったり、京都に春の桜・秋の紅葉を眺めに毎年のように通ったり等々、数えると20-30くらいありそうです、しかしながら、年齢を重ねるにつれて一つまた一つと継続している趣味が減り、現在ではワイン(コマンドリー・ド・ボルドー東京の評議員をし、仕事で担当したワイン・ファンドの関係で毎年のようにボルドーやブルゴーニュに行っていますが、そういう活動よりは、純粋に個人的にワインを飲み楽しむのが好きです)、テニス(学生時代からやっていて、今でも毎週末にコーチと個人レッスンで向きになってゲームをしています)と日本のアンティーク絵画くらいになっています。

日本のアンティ―ク絵画のうち、私は江戸時代の錦絵と桃山・江戸時代の屏風絵が対象で、気に入ったものを少しずつコレクションして、四季の移り変わりに合わせて居間に飾って楽しんでいます。

錦絵とは、江戸の中期・後期の多色刷りの浮世絵のことです。版画であるため同時に多数作成・販売され、一般庶民が購入し、居間に飾ったり集めたりしていました。浮世絵というと、当時から現代まで名所の風景画(東海道五十三次や江戸名所百景など)、役者絵(歌舞伎役者のプロマイドのようなもの)と春画(現在のアダルト動画に代わるもの)が有名でそれぞれ熱心なコレクターがいますが、私は四季折々のイベント(正月、雪遊び、ひな祭り、花見、初鰹、蛍と金魚、雷と夕立ち、朝顔、花火と屋形船、台風、秋祭り、月見、餅つき等々)を描いた三代豊国や国芳の3枚組の風俗画が好きで集めています。季節感がありますし、当時の日常生活の断片が細部に至るまで詳細に描き込まれていますので、見るたびに新たな発見があって飽きることがなく、江戸時代の一般人の生活の楽しみは、実は今とさほど変わらないのではないかと感じています。

これに対し屏風絵は、一点物の肉筆画です。本来は部屋の間仕切りのための実用品だったのですが、当時からどちらかというと慶事の飾りや、(お気に入りの襖絵を屏風に仕立て直したりするなど)絵の観賞用であったようです。ひとくくりで屏風絵と言っても、絵師の流派によって画題や画風が大きく違います。狩野派だと勇壮で豪華な花鳥画が中心ですし、土佐派だと典雅で色鮮やかな大和絵で、琳派だと可憐でデザイン化された花草画が多く、四条派だとすぐれた描写画が特徴です。当事務所の会議室にも、小型の屏風をパネルに入れて飾っています。当時有名だった絵の二流絵師による写しのようで、正直あまり絵が上手ではないのですが、錦絵に比べて画面が大きいため、迫力があり見栄えがします。当事務所にあるのは、南蛮図屏風(南蛮船と宣教師、狩野派)、武蔵野図屏風(武蔵野の荒れ野に月が昇る風景、琳派?)、源氏物語図屏風(土佐派)ですので、ご興味ある方はおいでの際に是非ご覧になってください。

こういう絵を眺めているうちに、自分でも日本画を描いてみたくなり、自宅近くの日本画教室に週一回通い出してから早2年近くになりました。鉛筆でデッサンをし、トレースして、墨で骨描きをし、にかわで岩絵具を練り、日本画用の絵筆で彩色するという過程と作業は、私にとって新鮮で、夢中になって格闘しています。若い頃に比べて、上手に描こうという気負いもなくなり、先入観もなくなって、見たとおりを素直に描き写すようになったため、デッサンは予想外に上手になり、驚いています。しかしながら、特に彩色については悩むことが多く、一度描いた後やはり気に入らず、塗りつぶして描き直すこともしばしばあります。現代の日本画では、伝統的な技法(①近くにあるものを色濃く鮮やかに彩色し、遠くにあるものの色を薄くしてくすませる日本画特有の遠近法、②墨の輪郭線を残し、透けるように薄塗りで彩色する、③白い部分は絵具を塗り残して、地の白をそのまま生かす等)だけでなく、一般的な洋画の技法(①点透視図法を使った西洋画風の遠近法、②目に見えるとおり、光っている部分には白を入れ、影の部分には墨を塗る、③実際の色彩に近く、はっきりと濃く彩色し輪郭線は残さない)も許されるようになり、技法の選択の幅が広すぎて本当に悩みます。ただ、初心者ながら、実際に自分でやってみてわかることも多く、屏風絵の見方も変わり、従来は目につかなかったところにも目が届くようになりました。

これらの趣味により、現代日本画は勿論、洋画も含めて、その見方が以前より深まり多角的になったような気がしますし、一層見るのが好きになりました。将来自由な時間が増えるころには、今よりは悩みなく、多彩なテクニックを駆使して自在に絵を描けるようになっていればと願っています。



本ニュースレターは、クライアントの皆様への一般的な情報提供を目的とするもので、法的アドバイスを提供するものではありません。個別案件については当事務所の弁護士までご相談ください。

中田 順夫 代表パートナー
直通 03-5532-3110
nobuo.nakata@hibiya-nakata.com

水落 一隆 パートナー
直通 03-5532-3109
kazutaka.mizuochi@hibiya-nakata.com

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